「池波正太郎」の長篇時代小説
『新装版 幕末新選組』を読みました。
『人斬り半次郎 幕末編』に続き、
「池波正太郎」作品です。
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血しぶく時代を生一本に生き、七十七年の天寿を全うした新選組隊士
「永倉新八」の軌跡
松前藩士の息子で、いたずら好きの腕白小僧
「永倉栄治」。
ひたすら剣術の稽古に明け暮れ、めきめき腕を上げて十八歳で本目録を受ける。
我が子を松前藩の能吏にと夢見ていた父もとうとうあきらめ、息子を元服させ、名も
「新八」と改めさせる。
折しも幕末の動乱期、剣術ひとすじに生きたいと願った
「永倉新八」は、新選組隊士になる。
一剣をもって己の信ずる道を歩む。
これしか生き方を知らない
「新八」は、出会った男によって、出会った女によって、少しずつ自分を磨いて行く。
女には弱いが、剣をとっては
「近藤勇」以上と噂された
「新八」の、維新後におよぶ生涯を、江戸っ子の著者が共感をこめてさわやかに描ききった長篇。
解説
「佐藤隆介」
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幕末動乱期を生き抜いた新選組隊士
「永倉新八」の成長の軌跡、生き様を描いた作品… 同じ幕末を舞台とした作品ですが、薩摩藩士(官軍)の立場から描いた
『人斬り半次郎 幕末編』と、新選組隊士(賊軍)の立場から描いた本作品の両方を読むことで、それぞれの立場がより理解できた感じがしますね、、、
結局、明治維新って本当の意味での民衆の革命ではなく、武士階級の政権交代だったってことなんでしょうね… まっ、全てが真実ではないんでしょうが、実際も似たような状況だったんだと思います。
「なあに、明治維新なんてえものはね、つまり薩長たち雄藩と徳川との争いさ。
いまのような文明開化の世が来たのも、そいつは時勢というやつでね。
つまりは日本国民がえらいのだよ──」
いたずら好きの腕白小僧が、父の意に反しひたすら剣術の稽古にあけ暮れて十年… 折しも幕末の動乱期、
「永倉新八」は剣道の快感に没入した青春の血汐をそのまま新選組に投じた、、、
女には弱いが、剣をとっては
「近藤勇」以上と噂された
「新八」の、さばさばした江戸っ子気質や、維新後におよぶ壮快な人生を、さわやかに描ききってありましたね… 気障で嫌みなライバル役
「藤堂平助」との確執や、
「原田左之助」との友情、
「近藤勇」への敬愛と反発、
「芹沢鴨」との奇妙な親交、妻や娘への愛情、両親への敬慕等、
「新八」の人間性を表現しているエピソードが巧く織り込まれており、少しずつ
「新八」に感情移入しながら読み進めることができました。
函館で穏やかに生活していた晩年、72歳になった
「新八」が孫を守るためにやくざ者に立ち向かう場面がカッコ良くて、印象に残りましたね… 幕末史って、あまり詳しくないんですよね、、、
『人斬り半次郎 幕末編』と本作品を読んで、ちょっと興味が湧いてきました。

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