「綾辻行人」の長篇ミステリ小説
『黒猫館の殺人 <新装改訂版>』を読みました。
『水車館の殺人 <新装改訂版>』、
『迷路館の殺人 <新装改訂版>』、
『時計館の殺人』に続き
「綾辻行人」作品です。
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大いなる謎を秘めた館、黒猫館。
火災で重傷を負い、記憶を失った老人
「鮎田冬馬(あゆたとうま)」の奇妙な依頼を受け、推理作家
「鹿谷門実(ししやかどみ)」と
「江南孝明(かわみなみたかあき)」は、東京から札幌、そして阿寒へと向かう。
深い森の中に建つその館で待ち受ける、
“世界”が揺らぐような真実とは!?
シリーズ屈指の大仕掛けを、読者(あなた)は見破ることができるか?
シリーズ最大級の
「綾辻流」・大仕掛け!
「館」シリーズ全館、これにて改装完了!
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今は亡き建築家
「中村青司」が建築に関わった奇怪な建物を舞台に、素人探偵
「島田潔(ペンネーム:鹿谷門実)」が、凄惨な殺人事件を解決する館シリーズの第6作となる作品です、、、
記憶を失った老人
「鮎田冬馬」が黒猫館で起きたことを書き残した手記と、
「鮎田冬馬」から奇妙な依頼を受けた
「鹿谷門実(島田潔)」と
「江南孝明」の調査パートが交互に綴られ、徐々に真相に迫る展開が愉しめる作品でした。
■プロローグ
■第一章 鮎田冬馬の手記 その一
■第二章 一九九〇年六月 東京
■第三章 鮎田冬馬の手記 その二
■第四章 一九九〇年六月 東京〜横浜
■第五章 鮎田冬馬の手記 その三
■第六章 一九九〇年七月 札幌〜釧路
■第七章 鮎田冬馬の手記 その四
■第八章 一九九〇年七月 阿寒
■エピローグ
■新装改訂版あとがき
■旧版解説 法月倫太郎
■新装改訂版解説 千街晶之
1990年(平成2年)6月、稀譚社の編集者である
「江南孝明」のもとに一通の郵便物が届く… 差出人は
「鮎田冬馬」で、内容は
「「鹿谷先生」とお会いし、お話をお聞きしたい」というものだった、、、
「鮎田」から電話がかかり、話を聞くと2月に滞在していたホテルが大火災に会い、その影響で記憶喪失になっているという… 現在は自身が書いたと思われる手記に書かれた名前しか知らず、自分が何者なのか調べてほしいと訴える。
「鮎田」は去年の9月まで黒猫館という家の管理人をしていたらしい… そしてその黒猫館を設計したのが
「中村青司」だと聞き、
「江南」は胸騒ぎを感じた、、、
彼が設計した建物は数々の悲惨な事件が起こり、自身も数多くの友人を失ったり、事件に巻き込まれたりしたからである…
「江南」は友人で推理作家の
「鹿谷門実」に連絡を取り、
「鮎田」が描いたと思われる、唯一の手掛かりである手記を読むことに。
その手記には黒猫館で彼が遭遇した、黒猫館の所有者の息子
「風間裕己」らを迎えた際に遭遇した奇怪な殺人事件の顛末が綴られていた… 老人の失われた記憶を取り戻すべく、黒猫館のかつての所有者である異端の生物学者
「天羽辰也」の足跡を追い求め、彼らは札幌、阿寒へ向かう、、、
しかし、阿寒で見つけた館には、あるべきものがなく、配置や配色等も手記にある館とは微妙に異なっていた… 惨劇に潜む真相は!?探求の果てに明らかとなる世界が揺らぐような真実とは!?
『不思議の国のアリス』と
『鏡の国のアリス』、トランプとチェス、内臓逆位… 伏線の回収が素晴らしいのですが、阿寒とタスマニアですからね、物語のスケールが大き過ぎて、ちょっと興醒めな印象も残りましたね、、、
確かに警察に電話しようとして
じゃなくて、"0"をダイヤルしようとしたシーンには違和感があったんですよねー もちろん、及第点以上の出来で面白いことには違いないんですけどね、館シリーズが4作連続で続いたので、ちょっと飽きちゃったかな。
以下、主な登場人物です。
「鮎田 冬馬」
「黒猫館」の管理人。ホテル火災が元で現在は記憶喪失となっている。
またそれ以前からとみられる左半身不随を負っている。
手記によれば、管理人ながらも僻地ゆえに別荘として利用されることもない
「黒猫館」にて愛猫のカーロとともに殆ど世捨て人のような生活をしていた。
「風間 裕己」
「黒猫館」の現在の持ち主の息子。M**大学商学部の学生。
ロックバンド「セイレーン」のギタリスト。親元を離れ東京で一人暮らしをしている。
隼人、晋、謙二郎と共にロックバンド解散記念旅行をしている。
「氷川 隼人」
裕己の従兄でT**大学の大学院で理学部形態学の学生。「セイレーン」のピアニスト。
異端の生物学者だった天羽博士の建てた「黒猫館」に興味を示す。
「木之内 晋」
裕己の友人で三流私大の学生。「セイレーン」のドラマー。
「麻生 謙二郎」
裕己の友人で三流私大の学生。「セイレーン」のベーシスト。オカルト好き。
「椿本 レナ」
旅行者で祐己と晋に誘われ、黒猫館に宿泊することになる。
「天羽 辰也」
進化論専門の生物学者で「黒猫館」の元の持ち主。
オーストラリアに留学した後H**大学助教授となるが問題を起こしてしまい、
大学を追われた後は現在消息不明となっている。
「天羽 理沙子」
辰也の姪で養女。現在消息不明となっている。
「神代 舜之介」
中村青司が師事した元T**大学教授で天羽の友人。
「橘 てる子」
H**大学教授で天羽の元同僚。
「江南 孝明」
稀譚社の編集者。冬馬からの依頼を聞き、友人の角実に連絡を取る。
「鹿谷 角実」
推理作家。本名は島田潔で九州にある寺の三男坊。『迷路館の殺人』でデビューする。

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