「開高健」の長篇小説
『輝ける闇』を読みました。
『開高健エッセイ選集 白いページ』に続き、
「開高健」作品です。
-----story-------------
閃光と爆音、戦場のリアル。
倦怠と銃弾と孤独。
戦場から戦争そのものを描く世界文学の到達点。
銃声が止んだ……虫が鳴く、猿が叫ぶ、黄昏のヴェトナムの森。
その叫喚のなかで人はひっそり死んでゆく。
誰も殺せず、誰も救えず、誰のためでもない、空と土の間を漂うしかない焦燥のリズムが亜熱帯アジアの匂いと響きと色のなかに漂う。
孤独・不安・徒労・死――ヴェトナムの戦いを肌で感じた著者が、生の異相を果敢に凝視し、戦争の絶望とみにくさをえぐり出した書下ろし長編。
-----------------------
フィクションですが、
「開高健」が、昭和39年(1964年)から昭和40年(1965年)にかけて約100日間をベトナムで過ごし、南ベトナム政府軍に従軍した際、激しい戦闘に巻き込まれ奇跡的に生還した体験した内容が色濃く反映されている作品なので、ノンフィクションのような雰囲気を感じることができましたね、、、
4年前に読んだルポルタージュ作品
『ベトナム戦記』と重複する内容も多く含まれており、思いだしながら読んだ感じかな。
主人公である
「私」はベトナム戦争の取材のため、
「キム大佐」や
「ウェイン大尉」率いるアメリカ軍に従軍する… アメリカ人やベトナム人、その戦場での様子に触れつつ過ごしていたが、サイゴンでのクーデターの噂を聞き、一旦はサイゴンに戻ることになる、、、
クーデターの情報を集め、日本からの記者仲間と交遊し、情婦である
「素蛾(トーガ)」と再会してしばらくはサイゴンで安寧な日々を送るが、再び主人公の心情に変化が… 有能な通訳
「チャン」が兵士として戦場に送られ、またとあるアメリカ人と出会ったことで、主人公は再び戦場へ赴く決意をする。
やがて主人公は、二度目の戦場にて大規模な銃撃戦に巻き込まれていく……。
終盤、南ベトナム政府軍に従軍して再び戦場に赴いた
「私」が、激しい戦闘に巻き込まれ奇跡的に生還するまでの展開は圧巻ですね、、、
ベトコンに囲まれジャングルや沼を退却する際の緊張感漲るシーンが印象的… 体験した者にしか描けないんだろうなぁ と思わせる程のリアリティでしたね。
以下、主な登場人物です。
「私」
主人公。とある新聞社の記者として、ベトナムでアメリカ軍に従軍する。
「ウェイン大尉」
アメリカ軍大尉、主人公が従軍する部隊に所属
「キェム大佐」
ベトナム人司令官
「素娥(トーガ)」
酒場「プレジール」の少女。主人公の情婦。

0