7.出生順位による継承の違い
家族における出生順位は、継承順位に関係することが97から理解される。長男に親を継がせるというのは、本人が心理的に安定する環境を構成するためでもあるということだ。次男は、親の同胞に子宝に恵まれなかった人を継ぐ、すなわち養子の役割を持つということだが、これを養子判と呼んでいる。兄の存在の元に親との関係を持つという心の構造があるため、換言すれば、間接的に親との関係を持つということがあるため、養家の親との関係を通して自分の親との関係を持つという状況に極めてなじみやすいわけだ。三男、四男になると、さらに親から離れた親の同胞や親族で子宝が恵まれなかった人を継ぐ、ということが行われる。これは大元祖判と呼ばれている。
○1 ○2 ○3
●1 ●2 ●3
◎1 ◎2 ◎3
もう一度上の図を見てみよう。
○1、●2、◎3を通る、左斜頚直線を考える。ここに「鏡」を置くものとする。鏡の反射面は、●1、◎1、◎2が映し出されるようにする。すると、その鏡には、●1が○2に、◎1が○3に、◎2が●3に対応するように映し出される。
親子関係は、長男である●1は親と直接の関係を持ちながら成長していくが、●2の出生とともに、●2に親をとられる経験をする。●2は●1の存在の元に親である○1との関係を持つ。先述したとおりである。
これから判ることは、長男は親を継ぎ、次男は親の同胞で子宝に恵まれなかった人を継ぐ、…、という方法は、現実の親子関係において、その子供達の幼児期の状態を実現しているということになる。鏡に映し出された世界は、関係そのものは現実の反映そのものである。
現実世界においては日常の種々さまざまな問題があるため、葛藤もまた種々さまざまである。その葛藤が発生するとき、長男は基本的に親を取られたという嫉妬があるため、そしてそれには無自覚であるため(だからこそ「無意識」と呼ばれるのだが)、「なぜこうなるのだ?」という形の葛藤になりやすい。次男は親と長男の関係を見ながら、「あ、そんな場合にはこうすればいい!」といった人間関係の術を学習しながら成長していくのが普通なので、成長する間にそれが無意識かされ、他者との関係において違和感を覚えるときに葛藤として現われたりする。
このような葛藤を昇華し、囚われの心意が無くなるようにしていくことが精神修養になるわけだが、継承法はそのための基礎を形成するものであるわけだ。これは臨床的にはなかなか面白い方法である。継承法をきちんと戻すだけで、問題が解決してしまう場合が結構あるのだ。
続く

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