平成18年1月5日(名古屋逓信会館)
電気事業の安全性と信頼性における人的要因
電気事業においてその安全性と信頼性を高めて維持することは、現代の人間の生活の質の安全性と信頼性を保持することに他ならない重要な課題である。電気事業は現代の文明の基礎であるからだ。
他の分野でも事情は同様であるけれども、現代の科学・技術においては、機器やシステム自体の安全性と信頼性は飛躍的に向上していると言ってよい。しかし、その機器やシステムの末端には必ず人間が位置する。感情の動物であると言われる人間自体の安全性と信頼性は、機器やシステムに比べるとかなり低い。したがって、人間を含めた機器やシステムの全体の安全性と信頼性は、人間自体の安全性と信頼性によって規定される。このため、現代においては、人間の精神衛生を考慮することが、電気事業を含めた社会システムの安全性と信頼性にはきわめて重要な要素である。
人間は「甘える」という性質を持つ生き物である。「甘える」ということは、自分でもできないことではないが他者にしてもらうこと、としてよいが、これは「ビジネス」を成立させる基本的な要因でもあることに注意しよう。
人間には、甘えたくても甘えられないという状態に置かれると、拗ね、僻み、恨み、不貞腐れ、自棄糞の心意が発生する。この心意が発生している状態に置いては、人間の行動は危なっかしいものになってしまうであろうことは容易に想像しうる。このような心意に支配された社員が行う業務は、信頼でき、かつ安全であることは夢物語であるといってよかろう。この点につき、社内の人間管理と、社員の家庭における精神衛生管理の二つの面から、問題点と対処法について述べる。カタイ話題ではあるけれども、分かりやすく、また、本講演は大会の最終プログラムであり、お疲れに人もおありであろうから、笑いも交え、楽しく気軽に聴けるような講話としてみたい。

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