日本文化の中の皇位継承・・・社会治安の良さの原因
いま世間は皇位継承問題で騒がしい。それは、男女平等・対等・同質であることを目的とする西洋の価値観が日本を支配しつつあるために、男系男子が皇位を継承するという、皇室典範の規定が見直されようとしているからだ。これは、その西洋的価値観に基づく限り、致し方ないというような考え方になっても致し方ないという面がある。既に多くの日本人が西洋化されてしまっているため、日本の価値観を基にした明確な主張を行うことがが困難となっている。
しかし、男系男子継承というものは、子々孫々の繁栄と和合を目的とした、女性優位・男系原理ともいうべき日本古来の価値観に基づくものなのである。この日本的価値観は、先述の西洋的価値観に対置しうる、というかそれよりも優れた価値観であるとも言えるのである。それは、子々孫々の繁栄と和合がなされる結果、社会治安が格段に良くなるという特徴がある。日本は世界的な治安大国である(あった)ということは周知の事実である。
明治以来の西洋化の波で、この女性優位・男系原理の日本文化は、さして研究されること無く、男女平等・対等・同質をを目的とする西洋文化に席巻されようとしているのが現状と言えるのであるが、果たしてこれでよいのだろうか。女性優位・男系原理の日本文化は、明確な形で残っているのは、皇室における皇位継承と沖縄におけるトートーメー(祖先の位牌の集合)継承としてである。トートーメー継承は日本文化の基層をなす祖先崇拝の論理に基づいて行われる男系男子継承法である。
現代沖縄で通用している方言(沖縄語)は、古代大和の影響を色濃く残すものとして知られている。枕草子の中にも表れる言葉がある。そんな言葉で語られる祖先崇拝の論理は、明らかに、それが古代からのものであることが分かる。
また、祖先崇拝の論理の中核概念のひとつは、欧米語には無いとされる「甘え」である。人間は甘える生き物であり、正しく甘えさせることによって、相互に信頼と忠誠の念を、内面から沸き起こさせるような形によって、作り上げていくことができるとするものだ。基本的には親子の中でこれがなされ、その結果、社会的人間関係にも適用するものである。甘えたくても甘えられない状態に陥ると、拗ね、僻み、恨み、不貞腐れ、自棄糞の心意が発生する。こんな心意を持つ人間が多数をなす社会は、治安が悪化して当然であり、犯罪の発生率が高くなるであろう。そのような心意が少ない人間が多数をなす社会では、当然、犯罪の発生率は低いであろう。前者の例はスウェーデンであり、国民の半数強が親に甘えることができない婚外子で構成される。一夫、日本でのそれは国民の二パーセント弱である。犯罪の発生率は、スウェーデンでは日本の10〜50倍である。
以上に簡述したように、日本には、欧米へも輸出しうるような、男系男子継承を象徴とする女性優位・男系原理の文化がある。黒船来航以来、日本は西洋化を進めることによって存続してきたとも言えるが、それがなされた今、子々孫々の繁栄と和合という人類の平和的存続を目的とする方向に転換する時期に来ているといえる。

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