この問題は 自分の国をいかに守るかという事では無く、私達が若い人達や子供達に、ルールは守らなくて良いと身を以て教えてしまったという事なのだ。
自分たちの法案が良きものだと信じているとしても、それはルールに則って採決されるべきだと思う。
そんな最低限の事すら守れない国会を私達は若者や子供に見せてしまった。
そんな大人が「道徳」を持ち出しても、子供達は心の中で反発するか、せせら笑ってしまう事だろう。
「自分たちが守らないくせに」
専門家達にも「憲法違反」と言われる法律なのに、憲法を無視して通してしまった。
憲法すら意味が無くなってしまった。
では、私達はどこへ行くのか?
その、向かうべき目的地を 自ら放棄して、私達はどこへ行こうとするのか。
これからは、この法案に引きずられて行くのだろう。
自分たちが正しいと思ったら、必要だと思ったら憲法すら無視して良いと教えた社会に、これからますます、子供達の事件が増えて行くだろうと危惧している。
だって、子供達の心には もう民主主義が死んでしまった事も、立憲主義が幻のように消えた事も刻み込まれてしまったのだから。
子供達も又、頼りにするものを失った。
子供達は大人より更に悲しい。
これから 自分の人生を作り上げるにあたり、信じられるものは何もないと、私達が教えてしまったのだから。
これからは もっと絶望がひたひたと私達の足元からゆっくりと 私達を浸食し、つかの間の、目の前の享楽だけで紛らわせようとする人達が増えて行く事だろう。
今回のこの強行採決は 目も前で見ている現象よりずっとずっと深く深刻な現実になって行くのを感じ、この諦めきれない思いを、今後どのような現実の形にしてくのか、考えあぐねている。
でも、決して諦めてはならないのだ。
それが、「生きる」と言う事なのだ。

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