10月24日(土)
札幌ドームで日本ハムがCS優勝を決めてファンが狂喜乱舞していたとき、
あの監督が両チームの選手によって胴上げされるという、奇跡の時を送っているとき、
ドームのすぐ近くにある小さな教会でも、小さな奇跡が起きていました。
魂のテナーマンが天に召されて1年。あっちの世界ですばらしいミュージシャンと楽しくセッションをしているようなので、たまには戻ってきて、私たちとも音楽を楽しもうと、メモリアルセッションが行われました。
集まったのは、総勢30名以上のミュージシャン。
遠く釧路からも大勢いらっしゃいました。
そして、彼を愛する…いいえ、彼に愛された、様々な縁でつながっている方々、
総勢110名。
ミュージシャンの皆さんは、それぞれが彼との思い出を音に綴り、すてきなサウンドを教会に響かせてくれました。来場の皆さんも、3時間の予定を30分あまりオーバーした時間、立ち上がるのも忘れて聴き入ってくれました。
ホスト役として進行に携わった私は、どんなに皆さんが彼との思い出にしんみりしても、自分はそんな感傷にひたることなく進行させよう!と思っていたのですが…
参加してくださった一人のサックスプレイヤー(3管バンドで、彼の代わりを務めてくれたこともある)が、奥さんの許しを得て、彼の楽器で演奏をしたのです。
その楽器から出てきたのは…フレーズこそ、そのプレイヤーの物でしたが、音色は…
まさしく、あいつの音でした。
一緒にジャズの3管編成バンドや、ラテン、ファンクバンドなど、様々なシーンで共演した、あいつの音…
やられたなぁ…S井さん♪
途中、彼のビデオを上映しながら進んでいったプログラム。
最後は教会らしく、『アメージング・グレース』で全員によるセッション。
ボーカルの方も大勢いらっしゃったので、3種類のジャンルをメドレーのようにつなげて進めました。
最初はゴスペル風。やさしい女性ボーカルの歌声が教会に響きました。
次に、ギターI田氏のイントロで、ボサノバ風。
ここからは様々な楽器のソロも入りました。
そして最後は、ファンクバンド"Breakin' Breads"のバンマス、N海氏のドラムによるセカンドライン。『聖者の行進』に代表される、葬儀終了後に演奏される、明るく愉快なリズムに乗せて、全員で盛り上がりました。
ボーカル陣はみんなそれぞれにシャウトし、管楽器は楽器を左右に振りながらリフを吹き続ける。リズム陣は、煽るようにうねりを見せる。
イメージしていた、あの名画『ブルース・ブラザース』の教会のシーン、ジェームス・ブラウンが牧師となって神の祝福をグルーブで表す、あのシーンが、正に現実のものとなったかのようでした。
演奏の締めくくりは、聖なるトロンボーンによるロングトーンをBGMに、
牧師の祝祷、そして、参会者による、言葉の『アーメン』、そして…
全演奏者によるアーメン終止。
音切りは、彼の奥方が、右手大車輪の後、ジャンピングストップ(笑)
熱いけれど温かい、激しいけれど優しい、そんな素晴らしいひと時でした。
勢いに任せて書いたので、あまり伝わらないかもしれませんが、
音楽を続けていてもそう簡単にはできない、貴重な体験をさせていただきました。
どうだ?五口口十。
昨年、お前の葬儀の時にも演奏したけれど、
いろいろな意味でやり残した感じがあったんだ。
奥さんから今回の話を聞いたとき、
「今度こそ、お前が喜ぶようなイベントにしたい!」
と思ったよ。
どうだ?楽しかったか?
俺たちは思いっきり楽しんだぞ。
その後の打ち上げなんて、すごかった。
普段一緒に集まる接点のない、ジャズの人、ラテンの人、ファンクの人が、
一堂に会して、酒を酌み交わしているんだ。
そしてみんながお前の話をしていたんだぞ。
お互いが知らない、お前のいろいろな姿について(笑)
やったな♪お前は死んでもすごいやつだよ。
こんなイベントの神輿に、しっかり乗っていた。
…でも…、もっともっと、お前と一緒に演奏したかった。
お前の魂のサックスを聴きたかった。
いや…お前はずっと、俺たちの心の中に居続けるんだよな。
演奏する時には、いつでも一緒にいるんだよな。
お前に負けない、魂の演奏ができるよう、
俺もがんばるよ。
またな。

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