この半年ほどで、私の知人が2人、すばらしい人の力と優れた医療の力(これも人の力なのですが)で生をつなぎました。
その一人は、美容師の○○○さん。仕事中に突然クモ膜下出血で倒れました。
その時、お店にいらっしゃったお客さんの一人が、なんと!看護士さん。救急車がくるまでの応急処置を適切にしてくださり、救急隊員が驚くほどの正確な情報提供をされたそうです。
そして運ばれたところは、脳手術で全国的に有名な病院。運ばれてすぐに9時間にも及ぶ手術が行われました。9時間…一つの命を救うためとはいえ、こんなにも長時間集中し続ける医療スタッフの皆さんって、すごいですよね。
発症部位や状況から、生存確率は7%以下、後遺症が残ってあたりまえと言われていたのですが、今年の初めに退院し、もうすでにお仕事に戻られました。まあこの方、手術後3週間で、病院に練習用のウィッグを持ち込み、毎日仕事のリハビリをしていたという、まさに『美容バカ』なのですが(笑)
それにしても、発症時にいたお客さん、そして、搬送先で受けることのできた手術と、どれもが人の力 〜それも、奇跡的な〜 によって彼の命、それと、彼の命ともいえるはさみを持つ指先が生かされた、ということに、感動せざるを得ません。
もちろん、本人の『生きたい!美容師を続けていきたい!!』と思う意志の強さにも。
もう一人は、半年前に、とある事故で首から下に全身大やけどを負った、小学5年生の少女です。事故発生後、市内の病院で手術が困難とみて、すぐに東京の病院へ搬送が決まりました。その搬送手段は、
自衛隊の飛行機。ドクターヘリ⇒飛行機⇒ドクターヘリと、最速の搬送手段が選ばれました。
着いた先の病院では、全身どこも触れることができないので、薬液を満たした水槽に浮かべて処置を行ったそうです。痛みも凄まじいので、意識をずっと混濁させたままの状態を何日も続けたそうです。状況を見ながら皮膚の移植を行いますが、体の中で無事なところは頭だけ。頭皮からの移植を繰り返し行いました。子どもですので、体は成長し続けます。せっかく移植しても成長に追いつかず、すぐにはがれてしまうこともあるので、本当に何度も何度も移植を繰り返したそうです。その間、生命の危機も幾度となく訪れ、その度に医療スタッフの献身的な治療で命をつないできたそうです。
14日にお見舞に行ってきました。入院先は某大学病院の高度救急医療センター内にある熱傷センター。BCUと言われる集中治療室です。行き帰りの道筋、何台もの救急車がそこに向かって走っていきました。朝、上京前に2台の救急車がすれ違うのを目撃した私ですが、ここではそんな光景はあたりまえのようです。
ガウンと帽子、マスクを身に付けてセンター内に入ると、いくつものベッドが壁に隔てられて並んでいます。でも、入口に壁はなく、ビニールカーテンがあるだけです。ほぼ全てのベッドがうまり、多くの患者さんが寝ている横を通り、案内されたのは、その一番奥にあるブース。
彼女は、笑顔で迎えてくれました。ちょうど食事をしているところ。夕食が届いてから時間は経っていたのですが、ずっと挿管された状態で栄養を摂っていたので食道が細くなり、食べるのに時間がかかるのだそうです。
あ〜、もともと食の細い子だったしなぁ♪
それでも、皮膚の再生のためにはしっかりたくさん食べなくてはならず、毎日がんばって食べているそうです。
壁に書かれている今年の目標は『朝昼晩、がんばって食べる』(笑)
「笑顔が見れて、うれしかったよ」と話すと、
「うん、元気だよ。まだジャンプはできないけどね」
バスケットボールが大好きなその子は、一生懸命話してくれるのだけれども、その声はか細く、耳を近づけないと聞こえません。ずっと話せる状態になかったからです。
あ〜、もともと声が小さめの子だったしなぁ♪
スプーンを持つ右手はしっかり動いていましたが、左手はまだギプスに支えられています。指同士くっついていたのを、最近やっと切り離したそうで、以前は右手も同じ状態だったそうです。
移植はこれから、という足を見せてもらいましたが、その様子は…。
パジャマを着る首すじに見えるネットも、痛々しい…
それでも、治ることを信じて、また大好きなバスケットボールができる日がくるのを信じて、毎日を過ごしていました。
生まれて初めて乗った飛行機のことを全然覚えていないのが残念で、帰りに飛行機に乗るのが楽しみ!と言っていました♪
帰りには元気なところを見せようと、歩いていいと言われているぎりぎりのところまできて、お見送りをしてくれました。
その間も、センター内では医師や看護士があわただしく、でも笑顔で他の患者さんのために働いていました。
二人とも、大勢の方々のすばらしい専門的な力で、今元気に過ごされています。本人の強い意志が生を支えているのはもちろんのことですが。
ぐうたらな私は、こんなお二人と会ったからといって、すぐにこれからの人生を考え直し、実行するなんてことはできませんが(^^ゞ、それでも、自分が今生きて、誰かのために取り組んでいる仕事や取組を、少しでもレベルアップしていきたい、そんな気持ちになりました。
○○○さん、△△△ちゃん、どうもありがとうございます!!
私も、今までより…チョッピリ…がんばるからね!!
折りしも、今日はあの大地震の日ですね。
生きたくても生きられなかった大勢の皆さんのご冥福をお祈りいたします。

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