<避難所生活で懸念される感染症 3> ◎破傷風 破傷風は、土壌中に広く常在する破傷風菌からくる毒素により、けいれんを引き起こす感染症です。 2004年に発生したインドネシア・スマトラ沖大地震の際には、100例を超す破傷風患者が報告されています。 <症状>3〜21日程度の潜伏期間を経て、局所から始まり、やがて全身に移行します。 初期症状は肩こり、舌のもつれ、顔がゆがむなど。ここから、多くは開口障害(口が開きづらい状態)に発展し、歩行障害などに移行します。 通常、意識ははっきりしていますが、自律神経系の障害として、血圧の変動、心拍数の増加、高体温、不整脈、発汗などの症状がみられます。さらに症状が進むと、けいれん発作、全身発作が起こります。重症の場合、呼吸筋のまひにより、窒息死することがあります。 <感染経路>土壌やがれきなどによって傷や骨折を負った場合、その傷口に菌が侵入することにより感染します。特に災害発生後、早期に発生しやすい疾患です。ヒトからヒトへ感染することはありません。 <対策>傷を負った場合は、可能な限り傷を開いて洗浄しましょう。 受傷者には、抗毒素を注射する必要があります。破傷風を含むワクチンの接種歴がない人は、その旨を医師に申し出て下さい。

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