ASCセンサーとは、「
AutoSpeedCtrl」命令を利用し、編成の動作に変化をつけるためのセンサーです。「
cVss」の自動運転にとっては重要なファクターなので、詳しく説明しておきます。
上図がその模式図です。まず、@のように右から編成が進入してきたとします。
すると、ASCセンサーがAの位置で編成を検知し、編成に対して「距離」・「電圧」・「AutoSpeedCtrl完了後の動作」等を与えます。
それによって編成は、指定された距離の間に指定された電圧に推移します。最も多く使うパターンは電圧0Vのパターンなので、ココでは電圧0Vつまり停止状態で説明します。
編成がBの指定された距離の位置で停止すると、これがCのイベント発生ということになります。そして「
SetEventAutoSpeed」で指定されたイベントハンドラが実行されます。これが「AutoSpeedCtrl完了後の動作」で、動作0〜5までの6パターンがあります。
「cVss」のASCセンサーのユーザー設定項目を見ると、
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//ユーザー設定項目
//AutoSpeedCtrl後の動作
//(1:解放、2:反転、3:再出発、4:反転即出発、5:反転後再出発、0:何もしない)
set VarASCMotionFlag 0
//制動距離(ミリ)
set VarASCDistance 1000
//編成制動完了位置(1:先頭、2:中央、3:後方)
set VarPosition 1
//目標電圧
setf VarASCVoltage 0.0
//AutoSpeedCtrl後の遅延時間(ミリ秒): 動作3&5にのみ使用できる
set VarDelayTime 10000
//----------------------------------------------------------------------
このようになっています。「AutoSpeedCtrl後の動作」は、
<0:何もしない>
停止状態を維持します。編成の出発キーが押されなければ、ずっと停止です。エンドレスループ路線で1周回って停止させるという時に使えるでしょう。
<1:解放>
機関車牽引列車の場合にのみ発動し、機関車が切り離され、機関車だけが自動的に再出発します。主に機回しで使用します。
<2:反転>
編成を反転させて停止状態を維持します。編成の出発キーが押されなければ、ずっと停止です。電車&気動車は、これで方向幕が切り替わります。主に終着駅で使用します。
<3:再出発>
停止状態を設定された遅延時間分だけ維持した後、自動的に再出発します。主に途中駅で使用します
(駅には専用センサーがあるので使うことは少ないかも)。
<4・・・反転即出発>
編成を反転させて、停止後すぐに、自動的に再出発します。電車&気動車の方向幕は切り替わりません。主にスイッチバックや機回し等で使用します。
<5・・・反転後再出発>
編成を反転させて、停止状態を設定された遅延時間分だけ維持した後、自動的に再出発します。電車&気動車の方向幕は切り替わりません。主にスイッチバックや機回し等で使用します。
となります。cVss-ASCSensor(0)〜(5)とは、ココの値が違うだけのものです。
なお、ユーザー設定項目に「編成制動完了位置」というものがありますが、これの2と3を使う場合には、「編成長測定センサー」で予め編成長を取得しておく必要があります。
2の中央合わせは駅でしか使わないと思うので、3だけ説明しておくと、ASCセンサーでの停止指定距離が、「設定の制動距離+編成長」になるということで、編成の最後尾台車がBの位置に来て停止するということになります。つまり、色々な長さの編成があった場合に、何かを完全に通過しきってから停止する必要がある場合には、この後方合わせを使うと確実に通過させられることでしょう。
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説明だけ見るとちょっと複雑に見えるかもしれませんが、これを適当に配置していくことだけで動作が得られますので、あまり深く考えずに配置して動かしてみると解るんじゃないかなぁと思います。
更に、このASCセンサーには一方向だけ発動するもの(片方向)、指定車両数の編成だけ発動するもの(単機型)があり、より複雑な動作にも対応出来るようになっています。

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