経済非合理の温床となる”天下り”にメスをいれ、公務員制度改革を推進しようという、渡辺行政改革担当大臣の果敢な姿勢に期待していたが、その後ろでコイズミ改革詐欺で恩恵を受けた新興利権人脈の存在がみえてきて興ざめしてしまった。
監督業界との癒着関係を温存する各省庁の”天下り”権益は、行政の不公正の温床となっており、おおいにメスを入れてもらいところだが、そのために再就職窓口を”人材バンク”に一本化するという構造が、あらたなブラックボックスを生む構造をつくりだしている。
大学の就職相談室みたいに、求人票を各人が閲覧し、各人が個別に企業の採用に応募すれば十分だし、きめ細かい再就職サポートを受けたいのなら、民間の人材センターを利用すればいいだけなのに、なぜ公務員の転職だけ官営の”人材バンク”が必要なのかまったく意味がわからない。
だいたい一部の国家機密従事者をのぞいて、公務員の再就職について、民間企業社員の再就職とちがうフィルターを用意しなければならない理由はあるのだろうか?
実際のところ、”人材バンク”を必要とする本音は、官全体で圧力団体として、官出身者を競争原理から守り、いい雇用条件を確保するという”私益”である”官益”だろうが、そんなことに血税を投入する意味を見い出だせるわけがない。
十分な職歴があり、付加価値の高い人材であるなら、自力で再就職できるはずだから、就職できないのは本人の努力不足の自己責任だ、というスタンスで勤労国民に過当競争の負担を負わせ、政策を推進してきた”官”が、自分だけ競争除外の恩恵を独占するなんて図々しすぎる話だと思う。
そんな”噴飯もの”の”人材バンクであるが、なんとその”公務員人材バンク”の”天下り”あっせん事業が、あのコイズミ改革詐欺政権でおおいに潤った人材派遣業の”パソナ”に丸投げされることになっているらしい。
パソナといえば、改革詐欺の司令塔であるヶケ蔵が、特別顧問に就任している”現代の政商”であり、オーナーの南部氏は、コイズミ政権下で、政府民間諮問委員をつとめた改革詐欺の恩恵を受けたB系K系の”なりすまし”新興資本人脈の幹事的存在である。
ライブドア闇マネー疑惑のキーマンであり、沖縄で怪死した野口氏が副社長であったエイチエス証券の社長であり、エイチアイエスのオーナーである澤田氏(?系)、ヶケ蔵の盟友で評論家から日本振興銀行会長に成り上った木村氏(K)、初期ITバブルのマネーころがしで巨万の富を築き、日本一の富豪になった孫氏(K)など、名だたる”新興資本”と親密な交流をもつ。
その南部氏がオーナーであるパソナが、独占的に国家権力中枢業務にかかわった人材バンクを運営するわけだから、不透明な改革利権の存在とともに、”亡国の胸騒ぎ”を感じてしてしまう。
強気な対北朝鮮政策が売りで、安全保障いのちのはずの”安倍政権”だが、”なりすまし”人脈にどっぷりつかった人材派遣業者なんかに、国家機密従事者の転職あっせん事業である”人材バンク”の管理を丸投げする”神経”がわからない。
暗黙の影響力を官僚と監督業界双方におよぼすことになることは容易に想像がつくはずだ。
”純粋まっすぐ”で”人がいい”安倍総理だが、頭がよくないのか、お人よし過ぎるのか、自分で地雷を仕込んでる気がする。
あのコイズミ改革詐欺も、コイズミ本人の思いとは別に、政策を丸投げされた連中の私欲が、”改革”を”改革詐欺”に変質させたことが”悪名”のはじまりだった。
ヶケ蔵とかオリックス宮内という”なりすまし”に、重要な政策立案を丸なげし、絶大な権限を与えたまま、好き放題にさせたことが、不必要に国民を痛めつける一方で、オリックス宮内はインサイダー的に自社利益を追求し、ホリエとか村上とか”なりすまし”連中の新興成金に暴利を貪らすことにつながった。
今回の公務員制度改革のひとつとしてはなばなしく打ち出された”人材バンク”も、ヶケ蔵一派に持ち込まれた”改革プログラム”に乗っかっただけというのが実情なら、コイズミ改革詐欺の過ちを、再び繰り返すことになるのではないかと心配する。
マスコミの論調は、”人材バンク”に異を唱える勢力は、官僚の既得権益をまもろうとする抵抗勢力であるかのような位置づけだが、”郵政政局”の二の舞にならないように、”天下り”の”yes""no"という二者択一に陥らない、改革の実際の中身を掘り下げた報道を心がけてもらいたい。
正論を装った既得権堅持を狙うだけの議論も含めて、さまざまな論点が錯綜して、議論がわかりにくくなると思うが、”官庁退職後の再就職を、監督官庁と監督業界のその取引ツールとして機能させないためにはどうすればいいか?”という目的にしぼってシンプルに考えれば、再就職については民間企業と同様にして、”業務としてあっせんはしない”ということいでいいのではないか?
へんに改革とセットして、”人材バンク”なんてシステムを介在させるから、新興利権をつくることになるのではないだろうか。
どうも今回の”人材バンク”制度は、各省庁の人事が個々に行ってきた”天下り”あっせんが、各省庁の人事が関与して、共同運営する”人材バンク”に一元化されるだけで、監督官庁と業界の取引関係を排除することにはならないらしい。
つまり、本来の目的を達成しないまま、新たに監督官庁の内閣府の権限強化と、管理業務を丸投げされたパソナの新興利権をつくるだけで、見た目は”改革”でも、実情は”改革詐欺”の”新興利権新設”ということになるだけだ。
へんに策を弄さず、”退職者の転職あっせんは本来業務から排除する。”業務時間内にそれを行うものは、サボタージュとしてマイナス査定し、減俸に処する”というシンプルな、あたりまえの就業規則の徹底からはじめられることをお勧めする。
PS
人材バンクの必要性として、高待遇の再就職支援=”天下り”が排除されると”うまみ”がなくなるから、公務員にいい人材が集まらなくなるというが、”高待遇”が志望動機の人材なんて、”滅私奉公”がもとめられる”公僕”の人材としては百害あって一利なしじゃないだろうか?
いい人材が、給料がいい外資ファンドにとられてしまうから待遇を悪くできないという人が多いが、一定レベルに達した人間の能力差なんて、さほどのことはないという事実を知らないのだろうか?入学試験偏差値の差=人材の能力差という幻想にはまってるだけだと思う。
だいたい、国家公務員の採用段階での選別基準なんか、明治以来、公務員試験の成績という、偏差値みたいなものが主になってきたわけだから、本当にいい人材が集められてきたかというと、大きな疑問符がつく。
出世の階段が違うキャリアとノンキャリアの差が、実務の能力でなく採用されたときの試験の差という、ばかげた現実を放置したままで、いい人材がこなくなるから高待遇の”天下り”を確保しなければならないという、公務員の人材の能力問題を、もっともらしく語らないでほしい。

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