慰安婦問題。「日本だけが悪いのか?」という橋下氏の問いかけは正しい。だが、この問題、スティグマなので、非常に慎重に、オブラートに包まなければ、「図星」を突かれた人間が激怒するように、皆が激怒する問題だ。例え「汝らのうち罪なきもののみこの女を石もて」という教えが強いはずの国家群であっても、だ。慰安婦(施設)が当時、世界中にあり、また、第二次世界大戦後にも世界中にあったことは、色々な資料が示している。この問題は、性の尊厳という普遍的なテーマの問題であり、どこそこの国の犯罪、などに集中する――たとえば日本国にスティグマをなすりつけ、自分は無罪であるように振る舞う――問題ではないのだ。そういうことを意図している報道は、「徹底的にハードな同和教育」を受けた人間からは、日本に対する分かりやすい差別意識を感じないわけにいかない。差別の定番は、相手に「性的にふしだら、不道徳」という偏見をなすりつけることである。ちなみに、日本で非常に早い段階で慰安婦問題を訴えた宋斗会先生は、韓国社会の女性蔑視を撃つ意図で行なった。
http://red.ap.teacup.com/tamo2/1811.html
正直、ア熊野寮なんかで好きな女の子に片思いしていて、ああいう空間だから二人きりになってしまう瞬間なんかもあるわけで、「犯したい」と本能的にリビドーが湧き上がったことがないわけでもない。だが、そうしてはいけないと理性の力が大抵勝つものだ。男なら分かるだろう、その力は悩ましいほど強い。これに一番向き合った宗教家は親鸞だ。親鸞は「私を犯しなさい」と、菩薩が夢に出てくることで救われる。そして、妻帯の自然さに行き着く。さて、世界中に慰安婦(施設)があったのは、あの恐ろしい力が、戦場という特殊な場では、理性に勝(まさ)っただろうし――というのは、理性をふっ飛ばすことで自分や他者の死を恐れない兵士を作るからだ――、それが混乱を引き起こすことを避けるため、という、<暴力の場>の方策だったんだろう。それがないと、ソ連のベルリンレイプや、満州レイプに繋がるんだろう。事後、下手人たちは一生、レイプしたことのトラウマに苦しむことにある。いっそのこと、戦場には妻や恋人を同伴するか?そうもいかないよなあ。まあ、我らが米軍は、女性兵士も一杯いて、セクハラ含め「やりまくり」らしいが。あと、ベトコンは女性兵士も一杯いたが、乱交がデフォで、それを告発する本はベトナムで出ているらしい。戦場とは、そういう場なのだ。根深すぎて、何にせよ「断罪」する気になれない。「汝らのうち罪なきもののみこの女を石もて」
とりあえずの結論。小生は、悪者捜しに興味はない。ただ一つ言えることは、戦争帰りの方(友人の父親)の証言で、「日本人の慰安婦より、ひどい扱いを朝鮮人慰安婦は受けていた(女性器が壊れてもおかしくないレベル、もし壊れたらその場でポイされた)」を信じるのみ。もし慰安婦であるから、という理由で謝罪が必要だとすれば、日本人を含めたすべての慰安婦に謝罪するべきなのだ。
おまけ。三浦綾子さんの『塩狩峠』という名作があるが、あの主人公、身を神にささげる前に、フィアンセとの結婚を前に、「明日から、セックスしまくり、わーいわーい」という感じのことを思っているように三浦さんは描く。「眼を抉りなさい、体を焼かれるよりマシだ」という宗教の聖人なのに(笑)。だが、それが正直というものだ。

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