『ネットのバカ』(中川淳一郎著、新潮新書=530)
ネットニュース編集者が書く、身も蓋もないネットの現実! リアルで力のあるやつが、ネットでも力があり、狭い分野でもいいから、第一人者だけが認められ、その他大勢は彼ら、彼女らを讃え、お金を貢ぐためだけにある。ネトゲは有料ユーザーの自尊心を満たすために、無料ユーザーが歓迎される。下世話な話が結局受けるのはリアルと同じ。ネットは利用すれば有用だが、利用されれば人生の無駄遣い。最後の文章がいい。
まずは自分の力を磨き、本当に信頼できる知り合いをたくさんつくれ。話はそこからだ。
(p222)
小生の場合も、共産趣味者の古参として、そこは成功したと思う。普通にサラリーマンやってたら、お会いできない方々と色々とお会いできたし。国会議員など。おかげで、読まなければならない本が膨大に増えたが(爆)。
ということで、例によって各章から思いつくまま。
序章は「ネットが当たり前になった時代に」
・一九九三年にパソ通を始めた頃は、マニアックな世界で、リベラルで、尖っていた人が多かったが、今はそうでもないよなあ。今は電気、水道、ガスみたいなインフラ。
・“ノマド”って、哲学用語なんだが、今良く使われる意味は「情熱大陸」で安藤美冬氏が取り上げられてからか。
・自己啓発セミナーはカモるため。ネットの恩恵はネットの強者のために。
・"The Winner Takes It All"――勝者が総取り。(アバ)
・やりたいことのためにネットを使おう、人と人の出会いを求めて。
第1章は「ネットの言論は不自由なものである」と題して。
・様々な読み方がされ、どんな突っ込み方をされるか分からんしなあ。読むのはファンとは限らんしね。
・下手な自己顕示欲で墓穴を掘る人は20年前からいたね。書かれる人のプライバシーには配慮しないといけない。失敗は永遠に晒しあげ。
・有名人は有利。特に、フォロワーという形を取れるツイッターでは。フォロワーには、ぶっちゃけ、キチガイとしか言いようのない信者が多く、あいつらうっとおしいわ! 常識通用せんし。そういうキチガイを戦闘力として利用する「有名人」は結構多い。人間の品性が見れて面白いけどね。駄目な経営者、駄目な有名人が誰か、自分の脳内の箱に区分けした。
・ちなみに、個人的には孫正義氏については立派と思う。彼は全てを自分で引き受ける。「やりましょう!」
・ネットで成り上がるためには、ネットの活用法とオフラインで何をしているか次第だと思う。そのヒントは以後に。
第2章は「99.9%はクリックし続ける奴隷」と題して。
・ネットで面白くていかがわしくて、様々な人が集まったところ。あめぞう、2ちゃんねる、ブログ、ミクシー、ツイッター、フェースブック。個人的に関わっていないのがソシャゲーかな。
・有名人が入り込んでくると、彼らの勝ち。残りはクリックし続ける奴隷。マルクスがどこかで言った「神に捧げれば捧げるほど、人間は素寒貧になる」という話がここにも。
・有名人のプライベートは金になる。ママドルは結婚、妊娠、出産などをブログで発表し、仕事がもらえる。東尾理子最強伝説。
・ステマって、こういうことだったんだね。それにしても、事務所が知らないはずがなかろう。責任は芸能人に、か。エゲツナイね。
・で、リアル強者=ネット強者のために、一般人の多くはクリックし続ける奴隷として、労働に勤しむのであった。
第3章は「一般人の勝者は一人だけ」と題して。
・勝者は「1ジャンルに1人」。但し、それがどんなに小さく狭い範囲でもいい。注目されればいいのだ。まあ、広いほうが実入りは大きいとは思うけどね。著者は「ネットニュース編集者」枠の一人勝ち組。
・見たいものだけ見れるネットは、偏向の塊に人間を育てやすい。(百田尚樹氏は残念だ。俺の知人は、「日本軍の記録だけで、南京大虐殺は1万を下らない非戦闘員の殺害記録がある」とのこと。どうせなら、リアル社会でリチャード・コシミズ氏らみたいに「アウシュビッツのガス室は、ソ連がねつ造した」くらい言えばいい。)
第4章は「バカ、エロ、バッシングがウケる」と題して。
・エロ系の直販は儲かる。彼らはPVを稼ぐためにあの手この手。1PV=0.1円らしい。バナーだらけのサイトが目につくわけだ。
・著者は「NEWSポストセブン」の立ち上げからかかわったわけだが、見てもらうには記事の選択が大事。バカ、エロ、バッシング。要は、下世話な話。
・著者はこれでPVを稼ぎ「ネット事件に詳しい」「炎上事例に詳しい」などという世評も相まって、仕事が来るようになる。そして、「強者」に。それにしても多忙で、一年365日仕事漬け。
・とはいえ、ポイントは、会議の多さと、夜の酒席は欠かさないこと。リア充でないとネットで金儲けは出来ないということか。
・あと。ウケる見出し。「伝統、お約束」「笑い」「(俗情との結託としての)怒り」「疑問を引き出す仕掛け」
第5章は「ネットでウケる新12ヶ条、叩かれる新12ヶ条」と題して。
・まあ、題のことそのまま書くのも野暮なので、面白いなあと思った話とか。
・プレミアム・モルツは売れているときに味を変えたらしいが、「守りに入るのは嫌い」だったからとか。
・「ジャズ喫茶理論」。人は通を気取りたいものだ。(尤も、本物の通はさりげない。)
・リアルな人生と関わると、品行方正になる。(うちはだいこみたいな例外もいるが。)
・「中韓を褒めるな」という話は、将来の日本社会に有利に働かないと思うよ。ぶっちゃけ、「中国人にはかなわんなあ」という話は色々聞いているし。韓国は両班イデオロギーをエンゲルス流に「爆砕」しないと、未来はないと思うけどね。太平天国の乱を乗り越えた中国、韓国は東学党の乱を乗り越えられるか?
第6章は「見栄としがらみの課金ゲーム」と題して。
・人は最大手に群がる。サービスが充実するからね。
・ニコ動のプレミアム会員は六%。あ、俺もだ。余り利用しないがw、課金はされている。こういうアホでもっているのです(爆)。この手のサービスって、こんな感じだろうね。DQ10は、やるだろうけど。
・コンプガチャのイカサマ性は体験したから分かるが、カイ二乗分析を突き付けたい気分w
・「お金を使うか、時間を使うか?」
・違法コピーで値崩れアイテム(爆)。
・無料ユーザー様とは「大得意先(有料ユーザー)様をより気持ちよくする下僕」(p144)
・一方、いい話ダナ〜としては、クラウドファンディング。寄付で社会改良。例えば、こんなの。
http://camp-fire.jp/
他には、hakobito, Smarty Smile, OPERON, study gift, 落し物ドットコム、黒歴史クリーナー。何かが得意な人が自分の知識を伝える「サロン」というプラットフォームもあるらしい。
・を、次に書物を紹介する予定の、@noiehoie さんの毎日新聞社への「意見広告」だ!
第七章は「企業が知っておくべき「ネットの論理」と題して。
・のまネコのように、皆が育てて共有しているものは「囲い込み」を疑われるようなことはしてはいけない。(ドット・コミュニズムの歴史がネットにはある。)
・とはいえ、個人の創作物は尊重しなくてはならない。
・企業の論理でドカドカと乗り込んではいけない。自発的な興味を惹かせることが大事。
・ツイッターは企業の中の人の人柄(キャラ)が大事。「ネットは(基本的に)個人のもの」というか、個人の世界なのだ。組織の論理ではなく。政党もね。
・「消臭力」は良かった。日常に戻るかけはしのようだった。1755年に大津波の被害に遭ったリスボンの少年なんだね、ミゲル君。
・ミゲル君の例の宣伝は様々な加工が施されたが、著作権などをエステーなどは問題にしなかった。ネットの論理に企業が合わせて成功している。そのうち、T.M.レボリューションの西川とコラボ。仲間意識を持ってくれるかどうかがネットでの成功と失敗を分ける。
・キャラ設定(例ではアニキキャラ)に成功した例。文章が書きやすいらしい。
・チェックは何重にもならないように。尖がったものがないと受けない。
・あえてステマを公言したUHA味覚糖。高等戦術だが、真似はできないね。
・ネットによる選挙への影響は未知数だが、小生は結局、個々人のキャラが大きい比重を占めると思う。政党のスピーカーに過ぎない奴なんかは、没落するだろうね。
第8章は「困った人たちはどこにいる」と題して。
・自己顕示欲の強すぎる人、一発逆転でスベる人、「愛国者」。
・「百回言われたウソは真実となる」(BY ヒトラー)は、ネットでは極端。嫌韓、嫌中関連では特に。あちらの反日も同等か、中央日報(南朝鮮)を見れば、メディア含みだからもっと深刻か。ネトウヨも南朝鮮メディアも、妄想狂だね。
・「エヴァンジェリスト(伝道師)」という概念。結局、モナドの酷いのではないか?
終章は「本当にそのコミュニケーション、必要なのか?」と題して。
・結局、リアルとどのように結びついているかが大事なんだと思う。
・ネットにハマるあまり、リアルをないがしろにしたら、ネットでもないがしろにされる。(熱男)
・ネットでアラブの春(あるいは、アラブの幻滅)が来たのは事実だが、バラ色の世界とは言い切れない。アラブの現在のように。結局、リアルでどうすんのよ? と結びついている。

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