国際学会があったりすると、日本の芸術や哲学がカリキュラムにあったり。
【仏教】
今回の御題は「無記」。一般的には君子怪力乱神を語らずとか、死後とか、知りようのないものを語らないという意味だ。今回のお話では、それから一歩踏み込んで「善悪」との絡みで。「善」「悪」とは人間の価値観のことだ。刃物をドスに使うのも、メスに使うのも、心一つ。善、悪は心で分かれてしまう。刃物そのものに善も悪も「ない」。この、価値観から離れた ありよう のことを、ここでの「無記」ということであった。自然科学に携わる者は、この無記という捉え方が出来ることが大事だ。実験での失敗という悪は、その実験自体が悪ということではなく、結果を判断する人間が悪と思っているのだ。実験そのものは自然の法則そのまんまにしたがっているだけである。例として、導電性有機物質を発見した実験のお話。
【狂言】
人間国宝の方が舞う。ちょっと見、よぼよぼのおじいさん。風邪を召しておられたし。しかし、踊り始めるとシャープで、優雅で、美しかった。狂言は一杯約束事があるようで、その解説を受けたあと見ると非常に面白いんだが、理解するには入口が高い気がした。狂言は、どんな人間も抱える愚かさを描くため、分かり易い犯罪とか、極端な事例を排除しているらしい。また、暴力シーンはお見苦しいから、3m離れて蹴るマネとかしていた。こういうお約束が随所に。形式(お約束)から内容を理解することが可能な知識が求められる。
【現代音楽】
ピアノ。最初の歌はワルシャワの平和を願った曲らしい。曲を聴くとなぜか気分は春近い奥入瀬へ。そこにツララがあり、ポタポタ雫が落ちたり。あるいは風が吹いて寒くなり、再び凍ったり。こんなのを繰り返しながら、最後はツララもろとも何か大きな力で 春の前のまどろんだ陽気が破砕されるようなイメージが。この時は強い音。なるほど。次の歌は、コダマについて。ピアノの中の弦を爪弾く音が、そういうふうに聞こえた。しかし、現代音楽はどうも散文的で、かつ難しい。

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